|
骨粗しょう症は、現在非常に高い関心が寄せられています。理由はいろいろありますが、骨粗しょう症になると寝たきりになってしまうんじやないか?という不安がその最大の理由だろうと思います。
奈良県では平成5年度から、保健所や市町村の保健福祉担当課の保健婦さんや栄養士さんが中心になって「骨密度測定と骨粗しょう症にならないための予防教室事業」を行っておりますが、この事業での骨密度測定希望者は大変多く、関心の高さを示しています。
このシリーズでは奈良県全域にわたって測定された3800余り例の骨密度測定結果の分析を通じて、私自身感じたことにもふれつつ、話を進める予定です。
さて、骨粗しょう症そのものの説明から始めましょう。
みなさんがご存じの骨は働きによって二種類に分けることができます。
一つは、腕の骨や足の骨のように長い骨で筋肉が動くときの「支え」や「支柱」として動く骨や、頭(頭蓋=ずがい=)の骨などのように大事な内部を守る働きをする骨と、もう一つは、背骨(脊椎=せきつい=)や足の付け根の股(また)の付け根の骨(大腿骨頚部=だいたいこつけいぶ=の骨)あるいは踵(かかと)の骨など、体重を受け、からだを支える働きをする骨の二種類です。
筋肉が力を出す時の「支柱」の働きをしたり、内部を保護することが役目の骨(頭蓋骨)は軽くて強く堅いことが必要ですが、背骨や足の付け根あるいは踵などの骨は走るときや歩くときに体重がかかる部分ですので、ただ強いだけではなく「しなやか」で、しかも「たわむ」必要があります。軽くて強くて何よりも十分に
「たわんで」、かかった体重のショックを吸収できることが必要です。それで、支柱役や保護役の骨は軽くて強いパイプに例えることができますが、体重のかかる場所の骨は、軽くて強いガワ(皮質骨と言います)で出来たパイプのような構造の中空部分に、弾力のあるスポンジ状のもの(海綿骨と言います)をギュウギュウに詰め込んだような構造をしています。そして、こういう構造のおかげでピョンピョン跳んだりしたとさにかかる体重のショックを「しなる」ことで吸収することができるのです。
しかし、この構造も適度の運動とカルシウムを中心とした適切な栄養で支えられており、これらがある期間以上不足すると、パイプのガワも薄くなり、それ以上に中空部分を占めていたスポンジ部分が溶けて徐々にスカスカになっていきます。このような中空部分がスカスカになってしまった骨の状態を、『骨粗しょう症』と呼びます。
ですから、骨粗しょう症になりますと「しなる」べき骨が「しならなく」なり、ちょっと跳んだだけでも骨が折れたりヒビがはいったりする危険性が非常にまします。そして「しなる」ことが必要な骨は、跳んだ時などにかかる体重のショックを吸収する働きをする骨ですから、その骨にヒビや骨折が生じますと、体重を支えられない、つまりはベッドの上での安静状態を余儀なくされるという事態になります。
骨粗しょう症が重大視されるのは、このためです。繰り返しますが、骨粗しょう症とは、本来体重のショックを吸収するはずの骨が十分に吸収できなくなるから、骨折・ヒビ入りなどが生じやすくなり、歩けない・立てないなどの重大事態を招くのであって、「骨が溶ける」などという、サモ恐ろしく表現される状態とは、少
し異なるのです。
それでは、骨粗しょう症にはどうしたらなるのでしょうか。あるいは、なにをしなかったらなるのでしょうか。
次回は、特別に大病も患ったことのない、健康面については平凡な人生を歩んで来た方が、どのような場合に骨粗しょう症になるのか、について述べていきましょう。
|