| お年寄りのお酒とのつきあい方(その2) |
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Kさんは66歳。息子さんは、教育を受け大都会でサラリーマン生活。で、ご本人は奥さんと二人で果樹農業をやっています。昨年2月、指の切り傷で来院され、その後高血圧と動脈硬化で、私の診療所へ時折元気な顔を見せてくれます。生来健康、中肉中背、たばこ1日20本、晩酌一合の生活で、健康に自信がある方なので、あまり検診はしていません。 このKさんが12月3日の夕方、少し赤い顔をして受診されました。 柿(かき)選果場の後始末が終わって、お酒を2杯飲んで約1時間後です。 血圧は予想より少し低め、脈は70ぐらい。しかし、少し乱れ気味です。本人はあまり酔った感じではなかったのですが、念のためと心電図検査を行いました。昨年2月に1回、心電図検査をし、正常でしたので、以後検査はしていません。しかし、今回は冠状動脈の異常を示す所見と心拍の乱れが認められました。 農家の方々の寄り合いや行事があると、大抵「まあ一杯」が行われるようです。今回は、後始末を終えた後、食事もなく、空腹に冷や酒だったようです。次の受診時にはもう一度心電図検査を行い、正常に戻っているか、冠状動脈異常の所見が認められるか、あの所見が二杯のお酒のためだったのか、かかりつけ医として感心を持っているので確かめたいと思います。 老化、動脈硬化は、木の年輪のごとく1年1年、自覚の有無にかかわらず進行します。お酒については、老化により1年1年弱くなっていると考えたほうが無難です。 Kさんは、昨年2月以来、果樹農家の主人としてよく働いていて、労作性狭心症のような症状は少しもありませんでした。また酒の味がわからなくなったり、酒量が落ちたようなことは自覚していませんでした。今回の場合でも、狭心症のような胸痛はありません。ほろ酔い加減で、ちょっと鼻唄でもうなりたい機嫌の顔つきでした。 老人には、痛みに対する感覚が鈍くなり、無痛性心筋梗塞(こうそく)が、後で心電図で発見されることがあります。次回のKさんの心電図にて、この1年と10カ月の間にKさんの心臓に老化が進んでいたか、またはアルコールの影響だったか判明しますが、いずれにしても、Kさんにお酒は自重してもらうことを説明しました。 忘年会、新年会とお酒のシーズンが始まりました。高血圧のお年寄り方で、お酒とつきあわねばならない方は、ときどき、血液検査で肝機能の働きをチェックするのが良いのですが、さらに年に1回ぐらいは、平素の1.5倍ぐらいのアルコールを飲んで、1時間後ぐらいにかかりつけ医に心電図検査を受けることも良いと思います。 老化により、血圧や冠動脈病変は次第に進行しています。そして冠動脈の病変は大病院の検査で発見されますが、このアルコール負荷心電図は、かかりつけ医で簡単に行えますし、それによって老化によるアルコールの影響がわかると、お酒の飲み過ぎによる突然死の予防も可能となります。 大病院で月1回ぐらいの血圧や心電図検査では大丈夫といわれても、老人の場合は何が起こるか、「神のみぞ知る」です。 |
| 小延 知暉 |
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