維持透析患者においては心血管合併症が高頻度であり、主要な死因になっていることは以前からよく知られている。
最近の臨床研究では、保存期腎不全患者(クレアチニンクリアランス70ml/分未満)や蛋白尿陽性患者(アルブミン尿陽性も含む)においても
心血管イベントを高頻度に合併することが明らかにされた。したがって、保存期腎不全患者に対しては腎機能低下の緩徐化(できれば阻止)
のみならず、心血管イベントの予防も加味した治療を選択する必要があろう。
本講演では、EBMに基づいた保存期腎不全患者の治療指針を概説した。
講演のまとめ
1.保存期腎不全患者の降圧目標(JSH2004)
130/80 mmHg 未満
推奨される降圧約
ACE阻害薬またはAII受容体拮抗薬
2.生活指導
腎疾患の生活指導・食事療法ガイドライン(日本腎臓学会編)
保存期腎不全患者では中等度から高度制限を必要とし、肉体労働は避けるように指導する。
3.食事療法
蛋白および塩分制限食
蛋白制限:0.6-0.8 g/Kg /日、塩分制限 7g/日以下
蛋白制限については、糖尿病性腎症患者において腎機能保持に有効であること確立しているが、慢性腎炎患者においては不明である。