高齢者に多い精神疾患は認知症(dementia)、うつ病(depression)、せん妄(delirium)であり、その頭文字をとって「3D」と呼ばれる。いずれも改訂長谷川式認知症スケールで低得点を示すことがあるため、その鑑別が重要となってくる。「3D]を鑑別するための着眼点としては、発症様式、罹病期間、経過、意識障害の有無、身体疾患との関係、症状の変動性、記憶障害、感情、脳波、睡眠障害、質問に対する応答、可逆性、抗うつ薬に対する反応、などが挙げられる。講演当日は、認知症の臨床診断の手掛かりとなるような経験談も混じえながら、「3D」の鑑別方法についてお話しさせて頂く。