平成17年10月29日
「関節リウマチ」 その病態、鑑別診断と治療について
天理よろづ相談所病院   総合内料  八由和大

 関節リウマチの原因は現在も不明である。おそらく16世紀頃新たに出現した何らかの病原体により、素因のあるヒトに生じた関節炎とされる。病態はさまざまで、関節炎に限局したもの、全身症状の強いものと多様である。原因は不明だがその関節炎の進展機序の解明は進み、抗サイトカイン療法(生物学的製剤)などが今日新たな治療法の開発、臨床応用に至っている。

 近年、関節の破壊がすでに病初期 2 年間に進行することがわかり本疾患に対する治療の考え方が変化してきた。米国リウマチ学会のガイドラインでは早期に診断し、病初期から抗リウマチ剤を使用、多剤に治療抵抗性の場合は、生物学的製剤を考慮することを勧めている。その生物学的製剤も現在承認されている抗TNFα製剤の他、近々新たな薬剤が多数認可される予定である。

 また非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)でも、副作用の少なし“スーパーアスピリン”として華々しく登場した COX-2 阻害剤が心血管系の副作用で窮地に追い込まれている状況等、治療面でもめまぐるしく変化しつつある現状である。

 以上、講演では関節リウマチの歴史、病態、最近の治療のトピックスまでを概説した。

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