| 平成18年7月1日 |
| 「皮膚異常症を巡る最近の話題 〜爪白癬とTrichophuton tonsurans感染症を中心に」 |
| 市立奈良病院 皮膚科 出射敏宏 |
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皮膚に生じる真菌症は、古くから「水虫」として一般に知られる白癬菌症がその代表である。白癬菌症とは、Trichophuton rubum(T.rubrum)などの皮膚糸状菌が角層のケラチンを消化吸収して増殖し感染が成立したものである。T.rubrumなどの好ヒト性菌に因る感染では症状は軽度(通常の足白癬など)であるが、好獣性菌(Microsporum canisなど)によるものでは強い症状(ケルズス禿瘡など)が認められる。皮膚糸状菌の感染する部位によって呼び名が異なり、しらくも(頭部白癬)、ぜにたむし(体部白癬)、いんきんたむし(股部白癬)、みずむし(足白癬)、つめみずむし(爪白癬)などと呼ばれている。中でも爪白癬は近年テレビや新聞、雑誌などのマスメディアを通じた啓蒙活動が盛んに行われ、広く一般の周知するところとなった。爪白癬は現在4つのタイプ(表在件白色爪白癬〔SWO〕、遠位部及び側縁部爪甲下爪白癬〔DLSO〕近位部爪甲下爪白癬〔PSWO〕全層性爪白癬〔TDO〕)に分類されている。爪甲は3層構造からなり、最外層は爪甲を構成するケラチン密度が非常に高く堅いため、通常は遠位爪甲下から堅い最外層を避けるようにして皮膚糸状菌の感染が拡大していく。京都大学及びその関連施設で387名に対し調査を行ったところ、TDOが52%と圧倒的に多く、ついでDLSO(32%)、SWO(7%)PSWO(1%)となっていたのは、この爪の構造及び感染形態に起因している。近年の盛んな啓蒙活動に対し、「爪白癬は単に外観上の問題にすぎない、特に足趾爪白癬は他人の目にさらされることすらないので治療は不要。」「医療経済的観点から考えて、高価な内服薬を投与する必要はないのではないか。医療費を生命に関わる疾患に回すべき。」といった意見も聞かれる。これに対し@他人への感染源となることA爪白癬が皮膚糸状菌の温床となるので、足白癬を治療してもすぐに再発するBさらに蜂窩織炎などの細菌感染症を引き起こしうるC歩行、起立、運動に障害を及ばすことがあるD手指爪の場合、職業選択に支障が生じうる。EQOLにも影響を与えている、などの理由から積極的に治療する必要があると考える。治療法には抗真菌剤の内服及び外用療法があるが、有効率は内服を行う方が遥かに高い。外用は症状が軽度である場合、及び肝機能障害などにより内服困難な場合におこなう。単純塗布では爪甲下に広がる感染層に対し効果が出にくいため、グラインダーなどで削って感染層を露出させた後塗布すると良い。一方有効率の高い内服薬であるが、@治療には半年以上要することA肝機能障害などの副作用の可能性がありB定期的な血液検査が必要となることC“水虫”の割に薬剤費がかかることD有効率は100%ではなく、75%程度にとどまることをあらかじめ十分に説明しておく必要がある。内服薬には現在テルピナフィンとイトラコナゾールが主に使用されている。有効率はほぼ同等であるが、テルピナフィンは@併用禁忌・注意薬が少ないA薬剤費が安いB皮膚糸状菌に対し殺菌的作用を持つなどの利点と@肝機能障害が起きやすいA腎機能障害患者には投与量の注意が必要などの欠点を持つ。一方イトラコナゾールは@内服期間が短い(3ケ月)A抗歯スペクトルが広いB副作用が出にくいなどの利点と@薬剤費が高いA併用禁忌・注意薬が非常に多いなどの欠点を持つ。各薬剤の利点・欠点を十分に把握したうえで、患者の状態に応じた薬剤選択が必要となろう。
Trichophuton tonsurans(T.tonsurans ) 感染症について
などである。格闘技の盛んな天理地区では十分な注意が必要であると思われる。 |
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