平成18年9月30日
『当科での64列MDCT検査の実際』
−心臓カテーテル検査の代替になりうるか?−
高井病院 循環器科 西田有功

 冠動脈描出能が飛躍的に向上した64列Multi−DetectorCT(64列MDCT)の登場により、循環器領域とくに虚血性心疾患の診断法は変貌しようとしている。64列MDCTによる冠動脈CTA(CT−Angiography)は心臓カテーテル検査の代替としての役割だけでなく、冠動脈プラーク性状の評価、心筋のパーフュージョンイメージなど心臓カテーテル検査では得られなかった情報を提供しつつある。

 現在の64列MDCTによる冠動脈CTAの主なメリットとしては、

  1. 心臓カテーテル検査を躊躇していた症例への適応、
  2. 負荷による虚血心の重症化の回避、
  3. 心臓カテーテル検査に伴う医療費の削減などがある。

 一方、冠動脈CTAの問題点としては、

  1. 心臓カテーテル検査に比して時間分解能が弱く、モーションアーチファクトの存在、
  2. 高度石灰化病変、高度屈曲病変、息止め不良症例等における冠動脈抽出能の低下などがある。

 当院では本年1月に64列MDCT導入後、冠動脈CTAによる冠動脈病変診断の高い陰性的中率(98%以上)から総カテーテル検査数に対する冠動脈カテーテル・インターベンション治療の比率が増加している。

 今回、冠動脈CT画像の再構築法、再構築された静止画として冠動脈MPR画像(Globe view,Stretch view)、動画像としてVolume Renderingなどを呈示し概説した。またその画像を利用した冠動脈カテーテル・インターベンション治療への臨床的応用などを述べた。

 今後、日常臨床で遭遇する循環器領域疾患の適切な診断・治療の実践の一助と なれば幸いである。

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