平成19年2月3日 |
心電図の基礎から実践的応用まで |
天理よろづ相談所病院 循環器内科部長 中川義久 |
講演では、以下に示す心電図・不整脈についての内容に加えて、天理よろづ相談所病院循環器内科の診療連携についてのコンセプトについても提示した。地域の先生方からの紹介患者は積極的に受け入れ全力で治療にあたる所存でありますので、是非とも症例のご紹介をお願いいたします。 本題の内容としては、右室流出路起原心室性期外収縮と心房粗勤の二つの症例を通じて心電図解析の概念を身につけることと、不整脈に対するカテーテル・アブレーションの実践的な手技を理解することを目標とした。まず心電図について理解するための基本的な概念として、心電図は単なる電気的な影にすぎないことを理解した上で判断しなければならない。 その基本原則としては、心電図の波形は、各誘導で観察する方向に対して「近づく刺激は上向きに振れる」ことである。洞結節から心尖部に向けて全体としてのベクトルは向かうので、左上から右下にむけて電気的な刺激は向かうこととなる。心電図を勉強するときの現実的な心得として、「定規、ディバイダーを使わず」,「波形の名称は必ず覚えよ」,「心電図はパターン認識」,「12誘導心電図はモニター心電図記録の切り張り」の四つが大切である。 石室流出路起原心室性期外収縮を理解するには、脚ブロックと心室性期外収縮の類似性について知ることがポイントとなる。心室性期外収縮が右心室起源であれば心電凶は左脚ブロックパターンをとる。左心室由来であれば右脚ブロックパターンとなる。また、心尖郡付近から起源する期外収縮であればU誘導で陰性の波形となり、流拙路付近つまり心室の高い場所(頭側)から起源する期外収縮の場合にはU誘導で陽性の波形となる。これを組み合わせて考えれば、心室性期外収縮が「右室流出路付近」,「右室心尖部付近」,「左室流出路付近」,「左室心尖部付近」のいずれから起源するかの、判断が可能となる。心室流出路超原心室性期外収縮は、期外収縮の好発部位である。右室流出路起原心室性期外収縮が頻発する症例のアブレーションの実例を提示した。 心房粗動は毎分250〜350回の鋸歯状の心房波(F波)が観察される頻脈性の不整脈である。そのF波は規則的で、心房と心室の中継所である房室結節で一定の割合で電気的興奮が間引きされて、心房から2対1、3対1、4対1などの一定の比率で視則的に心室に伝えられるので頻脈でも脈拍は比較的規則的となる。体を動かしたりすると急に伝導する比率が多くなり脈拍数が急上昇することがある.電気生理的には、右房内で三尖弁輪周囲を反時計周りの興奮旋回(マクロリエントリー)が持続し、これが心房粗動の原因と考えられている。この回路を横断するように三尖弁輪と下大静脈を結ぶように線状に右房壁をアブレーションすることで根治可能となる。 |
このページのトップに戻る 定例講演会の目次のページに戻る 天理地区医師会のトップページに戻る |