平成19年12月1日 |
CKDとその治療〜末期腎不全に至らない、寛解を目指すには〜 |
奈良県立医科大学 第3内科 講師 山尾純一 |
透析患者数が全国で二十六万人を超え、末期腎不全に至らせない医療が急務とされている。腎不全に陥る主な原因疾患は糖尿病性腎症・慢性糸球体腎炎・腎硬化症で、この三つを含む慢性進行性腎疾患が包括的に「慢性腎臓病」(Chronic Kidney Disease:CKD)として新たに定義され、その進行を抑制すべく、世界でも日本でも総合的な対策と取り組みが開始された。CKDの定義は、蛋白尿や腎組織・生化学・画像検査の異常and/or糸球体濾過値60ml/min・1.73u未満(日本人に合わせたMDRD計算式による)が三ヶ月以上続く病態とされている。原因疾患が何であれ、この定義に当てはまる腎障害を集学的に治療して末期腎不全への進行を抑制しようというのである。その柱は@早期発見、A生活習慣の改善(特に食塩摂取制限)、B治療薬の的確な選択と厳格な血圧コントロール(糸球体高血圧の是正と尿蛋白抑制を目指す)とされている。そのためには病診の医療連携と患者教育が必須で、地域医療の先生方と基幹病院のさらなる連携強化を願っている。 |
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