平成21年6月27日
「心房細動を意識した降圧治療」〜ONNTARGET試験から得られた知見〜
大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学 南野 哲男先生
  近年では脳梗塞の原因の約三分の一は、心房細動で左心房にできた血栓が遊離して脳動脈を閉塞する「心原性脳塞栓」とされています。福岡県久山町の疫学調査においては、一九六〇年代はラクナ梗塞主体であったが、一九七〇年代から八〇年代は心原性脳梗塞が増え、一方、ラクナ梗塞、アテローム性脳梗塞は厳格な降圧治療の普及により減少傾向を示しています。心房細動の危険因子には心筋梗塞(三・六倍)、肥満(一・二八倍)など種々ありますが、その中でも高血圧(一・四二倍)は母数が多いので、特に高血圧性の心房細動が問題となります。
 本講演では、心房細動の分類(初発性心房細動、発作性心房細動、持続性心房細動、永続性心房細動)および二〇〇八年に発表された「心房細動のガイドライン」についていくつかポイント(@一か月に一回INR測定 A発作性心房細動にもワルファリン投与 Bワルファリン適応患者には必ずワルファリン投与 C抜歯・手術時・バイオプシー時にもワルファリン投与中止不要)をご紹介しました。
 また、脳梗塞のリスクを評価する指標としてCHADS2スコア(CCongestive heart failure(うっ血性心不全)、HHypertension(高血圧)、AAge
(七十五歳以上)、DDiabetes Mellitus(糖尿病)、SStroke(脳梗塞の既往)(2点))を紹介し、未治療の心房細動患者におけるCHAD2 scoreと脳梗塞年間発症率の関係(JAMA.2001;285:2864-2870.)についてご紹介しました。
 最後に本年一月に発表された高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)で新たに追加された心房細動(予防)に対して、ACEIやARBなどのRA系抑制薬が積極的適応とされた点についてご紹介しました。




   



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