平成22年10月30日
「見過ごしてはならないめまい患者を見過ごさない方法」
大阪労災病院 耳鼻咽喉科部長 北原 糺先生
 最初にめまい平衡の総論として、内耳からの入力、視覚入力、深部知覚入力がお互いにカバーしあいながら、小脳で統合される前庭系のシステムを解説する。このシステムによって、ヒトはまっすぐ立っていられるし、まっすぐ歩行もできるのである。
 次に耳性めまいの各論として、大阪大学医学部耳鼻咽喉科めまい専門外来の統計から頻度順に、良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎、めまい突難、その他の末梢性めまいを概説した。めまい持続時間がそれぞれ数分、数時間、数日というように、各々の疾患について鑑別方法を示した。
 さらに見過ごしてはいけないめまいとして、良性発作性頭位めまい症のような症状を呈する小脳出血例および脊髄腫瘍例を呈示し、メニエール病のような症状を呈する外リンパ瘻、内リンパ嚢腫瘍、聴神経腫瘍を呈示し、最後にめまいを伴う突発性難聴のような症状を呈する椎骨動脈乖離を呈示した。いずれもポイントとしては、めまいが生じる誘因(Inducer)、合併症(Complication)、髄伴症状(Accompanied)、眼振の推移(Nystagmus)の頭文字をとって、I canに注目することである。これで明日から、私も鑑別診断ができる(I can)。







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