平成22年11月27日 |
「結核の診療ー最近のトピックを交えてー」 |
国立病院機構 近畿中央胸部疾患センター 感染症研究部長 露口 一成先生 |
結核は早期発見すればほぼ治る疾患であるが、発見が遅れると死に至ることもあると同時に周囲にも感染を広げてしまう。減少したとはいえ、この意味で結核を診断することは重要である。結核の診断にあたっては画像診断、結核感染診断、細菌学的診断がその柱となる。画像診断は他疾患との鑑別のために有用な検査であり、周囲に散布層を伴う空洞性陰影を認めるのが典型的な肺結核の陰影である。しかし、結核の陰影は多彩であるため、すべての異常陰影で結核の可能性を考えておく必要がある。結核の感染診断法としては、かつては有用性の乏しいツベルクリン反応しかなかったが、現在ではクォンティフェロン(QFT)検査が広く用いられている。QFTの感度は八〇%、特異度は九九%程度とされている。すなわち、結核でも二割程度はQFT陰性となる。QFT陽性であれば結核感染があることはほぼ確実であるが、異常陰影が結核とは限らないことに注意が必要である。細菌学的診断はもっとも重要な検査法であり、臨床検体から1コロニーでも結核菌を認めれば結核と診断され治療の対象になる。 |
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