令和1年6月1日
「冠動脈ステント留置後の抗血栓療法をめぐる最新の話題」
天理よろづ相談所病院 循環器内科 田村 俊寛先生
  冠動脈疾患患者へ薬剤溶出性ステント(drug-eluting stent:DES)留置後は、アスピリン+チエノピリジン系の二剤の抗血小板薬(dual antiplatelet therapy:DAPT)を投与することが一般的である。
二〇〇四年にわが国で第二世代のDESが登場して以来、DAPT期間については常に議論の的となってきた。昨今では長期のDAPT継続による出血性イベントの問題や、第二世代・第三世代のDESによるステント血栓症が減少していることなどから、DAPT期間の見直しが行われている。今春、日本循環器学会のガイドラインが改訂され、DAPT期間に関しては、安定冠動脈疾患であれば少なくとも六か月、急性冠症候群であれば六-十二か月がクラスIエビデンスレベルAとなった。また、心房細動などで抗凝固療法が必要であれば、ステント留置一年以後はDAPTから抗凝固薬単剤がクラスIIbエビデンスレベルBに改訂された。
 本講演では、PCI後の至適DAPT期間について、欧米やわが国での主要な臨床試験の結果を踏まえ、日常臨床の経験も交えながら考えてみたい。



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