平成23年8月6日
「診療所で基礎インスリンを上手く使う」
高槻赤十字病院 糖尿病内分泌生活習慣病科部長 金子 至佳先生
 2型糖尿病では糖毒性、脂質毒性、酸化ストレス、ERストレスなどによるβ細胞の慢性的なアポトーシスが病態進展に関わり、診断時にはβ細胞機能は約五〇%に低下している。腸管から吸収されたブドウ糖は門脈に流入し肝臓に蓄えられる。夜間絶食時には肝臓からの糖新生によって空腹時血糖を維持するが、2型糖尿病ではβ細胞機能低下のため夜間の肝糖新生が亢進し空腹時血糖が上昇する。この点から夜間の糖新生を抑えるために基礎インスリンの補充は重要である。
 通常β細胞内ではミトコンドリア由来の変性した蛋白を処理するAutophagyや間違った高次構造をとるタンパク質を処理するユビキチンproteozome系の機構が備わっている。2型糖尿病の病態においては過剰なブドウ糖に由来するβ細胞のアポトーシスが関与する。インスリン治療はアポトーシスを抑制する。少量のSU剤にて血糖コントロールがつかなくなった場合は、より早期にインスリン治療を導入することでβ細胞機能を残すことが可能となる。その際の最初のインスリン導入として基礎インスリンは初めてインスリン治療を行う患者さんにとっても診療所の医師にとっても導入しやすいと考える。
 また2型糖尿病患者では血管障害の点からもβ細胞機能が充分に残存する早期から介入することが重要である。





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