平成24年1月28日
「心血管イベントにおける介入治療戦略」
社会医療法人高清会高井病院 心臓血管センター長 循環器内科 西田 育功先生
 〈要旨〉
 動脈硬化の進展を抑制し、脳卒中や心筋梗塞、死亡などの心血管イベントリスクを減少させるための一次予防としては、降圧薬、高脂血症薬、糖尿病薬などの薬物治療が考えられる。しかし、日常臨床において、これらの薬剤の介入治療の評価、可視化は難しく、臨床試験でも証明することは難しい。また、作用機序の異なる薬剤同士の介入治療評価を比較することも容易ではない為、処方選択に悩むケースは多々存在する。例えば、スタチンと相性の良いエゼチミブは、併用することで更なるLDLコレステロール低下効果が期待できるが、この組み合わせでのエビデンスはENHANCEstudyを始め、最近まで証明されなかった。CKD患者を対象に行ったSHAPRstudyによりスタチンとエゼチミブの併用の有用性が示され、作用機序が異なっていてもLower the betterの概念で脂質低下療法を行うことが重要であるといえる。糖尿病治療薬においては大血管障害の予防を証明した前向きなエビデンスは無く、細小血管障害の予防を目的として投薬しているが、今後、インクレチン関連薬であるDPP‐4阻害薬シタグリプチンのTECOSstudyにより、大血管障害減少のエビデンスが出ることが望まれる。一方、二次予防の介入治療として当院では、侵襲度が低い冠動脈256列CTによる画像診断にて主要な冠動脈の評価を行い、PCIによる治療を積極的に行っている。当院の心臓血管センターにおける検査・治療の実際について詳しく紹介する。

 



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