平成24年10月27日 |
「医療安全に関する話題」 |
株式会社スズケン カスタマーサポート部 コンサルティング課 藤井 秀明様 |
平成十九年四月の医療法改正により、病院と有床診療所に限って義務とされていた医療安全管理体制を確保することが、無床診療所においても義務化され五年が経過しています。本日は、各種団体から公表されている医療安全に関する資料をもとに医療現場で起こっているヒヤリ・ハットの発生状況や事例についてご説明させていただきます。 公益財団法人日本医療機能評価機構の「医療事故情報収集等事業」によれば、ヒヤリ・ハット報告の当事者の職種は看護師が最も多くなっています。しかし、報告件数が少ないながら医療機関に従事する全ての職種から報告されています。このことから、すべての職員が当事者になる可能性があることを周知し、職種によるヒヤリ・ハットに関しての意識のズレが起こらないことが重要です。 インシデント事例では、「転倒」「転落」「薬剤」の三つについての報告が多いと言われています。その中から、「薬剤」について見てみると「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業」によれば、調剤に関するインシデント報告では、「数量間違い」、「規格・剤形間違い」、「薬剤間違え」が調剤全体の六割超となっています。その中には、医薬品の名称類似によるインシデントも報告されています。名称類似は注意するように意識はしていても単純な思い込み間違いで発生しています。同じように、処方せん入力の単純な間違い等も報告されています。ダブルチェックや指差し呼称確認といった確認作業を徹底させることが未然に防ぐことに繋がります。 平成二十一年三月に国立国語研究所の「病院の言葉」委員会から発表された「病院の言葉」を分かりやすくする提案では、一般国民の八〇%超が、「医師が患者に説明するときの言葉には、わかりやすく言い換えたり、説明を加えたりして欲しい言葉がある」と回答しています。認知率が低い言葉、認知率は高くても理解率が低い言葉など説明時に注意しなければいけない言葉があります。 患者さんの身近なところで医療事故が起こっています。医療・介護ベッド用サイドレールやベッド用手すりに頭や首が挟まれたことが原因の死亡事故が報告されています。厚生労働省は、注意喚起と再発防止に向けた安全点検に取り組んでいます。サイドレールカバーやクッションなどを利用し、ベッド周辺のすき間にご注意ください。 医療安全管理体制の整備は、管理者に患者さんに安全な医療を提供するための体制整備が求められています。そのためには、院長先生を含む職員全員が安全な職場環境で従事することが大切と思われます。本日の資料を今後の職員研修にお役立ていただければと思います。 |
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