【診断について】
□左記項目のチェックをまず行う
1.検査所見、臨床所見、健診所見にアルコールに関連すると思われる異常がないか確認する。
2.社会的・精神的にアルコールに関連する問題があるか確認する。
3.飲み方について確認⇒飲酒量はアメリカNIAAAによる基準を使用
□続一般医・救急医・産業医・関連スタッフのために開発された飲酒スクリーニング、短時間介入、専門治療への照会をまとめた「SBIRT(エスバート)」で該当項目のチェックを行う。
1.CAGEかAUDIT‐Cのチェック
2.ICD‐10のチェック
□最後に、患者・家族への指導を行う。
チェックの結果に従い、節酒指導または、断酒指導を行います。本人が理解し、自ら決定できるようサポートすることが大切です。
【治療について】
□危険な飲酒、プレアルコーリックの患者の場合
節酒指導を行う
ただし、妊娠中またはその可能性のある女性、少量の飲酒でも心身の悪化する人、家族問題などが生じている人、アルコールと相互作用のある薬を服用中の人、節酒ができない人、車や機械の操作をしている人、これらの人は断酒が必要です。
目的
1.アルコール依存症への進行を防ぐ
2.心身に有害な影響を軽減する。
目標「危険の少ない飲酒量」をめざす
男性(六十五歳未満)・・飲む日は日本酒二合以内と週七合以内を守る。
女性と男性(六十五歳以上)・・飲む日は日本酒一・五合と週三・五合以内を守る。
介入のポイント
1.検査所見、臨床所見、健診所見、診断結果とアルコールの関係を明示する。
2.飲酒の順位表を使って、飲酒量の多さを気付かせる。
3.飲酒日記を使って、飲酒量の多さを気付かせる。
4.目標が決まったら、飲酒日記でフォロー・モニターし励ます。
□アルコール依存症の場合
断酒指導を行う
目的 断酒により、アルコール依存症から回復させる。
目標
1.断酒のために、専門治療機関受診を動機づける。
2.専門治療機関に受診ができない場合は、主治医・受け持ちスタッフとして断酒指導を行う。
3.患者が断酒への抵抗が強い場合は、軽度の場合は、節酒指導を試み、中等度か重度の場合は、家族だけの専門治療機関受診を動機づける。
介入のポイント 次の事を理解し、気付くように動機づける。
1.意志が弱いのではなく、飲酒欲求が亢進して飲酒欲求を制御できなくなっている。飲酒へのブレーキが故障しているので、飲酒すると故障したブレーキは効かず暴走し、自分も周囲も有害な結果を受ける。安全な人生には、故障したブレーキを踏む必要がないように、「飲まないこと」が必要である。
2.このまま飲酒を続けると、暴走して、心身の状態は悪化していく。
3.このまま飲酒すると、ブレーキは益々効かなくなり、依存は進行し、有害な結果は増え、家族、仕事などの関連問題も悪化する。
4.断酒すると、心身も家族も仕事面でも共に改善する。
5.飲みすぎにより失った生きがいなどが断酒をすることで回復する。
6.断酒するかどうかは本人の自己決定を尊重する。
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