平成27年1月31日
「不適切な飲酒への対応」
植松クリニック   植松 直道先生
 

 不適切な飲酒とは、過剰な習慣飲酒(アルコール依存症、生活習慣病、慢性的な健康障害が引き起こされる)やビンジドリンキング(暴飲からの酩酊に起因する健康障害や社会問題を引き起こす)、飲んではいけない条件下での飲酒(未成年や妊産婦、車の運転、機械の操作など、少量でも問題となる)などがあります。不適切な飲酒から断酒するためには、禁煙のプロセスと同様に「変化の5段階モデル」を活用して導いていきます。5段階モデルとは、1.前熟考期 2.熟考期 3.決断期 4.実行期 5.維持期 です。
 アルコール依存症者の断酒に対する抵抗に反論はせず傾聴し、断酒への動機付け面接を行います。動機付け面接の基本的態度としては、正確な共感性、おしつけがましくない温かさ、真心のこもった誠実なスタンスが必要となります。原則として、目や表情で共感を積極的に態度として表します。「なりたかった自分」と現状の矛盾を傾聴し、自己効力感を育てるように援助していきます。また、両価性(アンビバレンス)を活用し、断酒へと自ら取り組むように意識付けします、自らの言葉でチェンジトークを語れるようフォローしていくことが重要となります。
 今回は、アルコール依存症者への初期対応についてご説明させていただきました。日常診療でアルコール依存症患者への対応のご参考になれば幸いです。


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