よく処方される漢方薬は病名投与ができて使い易いし、証(レスポンダー)を見極めて投与すると治療効果が上がり易い。
1.効果発現期間について
早いもの(芍薬甘草湯、風邪薬、便秘薬)
遅いもの(慢性症状に即したもの)
2.副作用について
偽アルドステロン症、肝機能障害、間質性肺炎が挙げられるが、一般的には偽アルドステロン症が最も発生し易い。
3.生産メーカー間での注意点
メーカーが違うと適応症や含有生薬や内容成分が違う場合があるので注意が必要です。
4.漢方処方別の使用方法について
A.消化器領域の漢方
43六君子湯、100大建中湯、62防風通聖散
43六君子湯の薬理作用
適応性弛緩改善作用、運動改善作用があり、しっかりため込んで、しっかり排出させるイメージで胃もたれと逆流性食道炎の症例を提示されました。
100大建中湯の薬理作用
消化管平滑筋を強める作用、消化管粘膜の血流改善作用があり、特に下部消化管機能改善剤として使用される。症例として大腸がん術後の便秘症を解説されました。
62防風通聖散の薬理作用
褐色脂肪細胞の活性作用、白色脂肪細胞中性脂肪分解作用による抗肥満作用について解説され、運動療法と共に服用される事が重要ですと解説されました。
B.冷え性の漢方、C.頭痛の漢方
「冷え性は万病のもと」と言われるように疾患の背景の増悪因子になり漢方の得意領域になります。
38当帰四逆加呉茱萸生姜湯のサーモグラフィーで測定された体温上昇の治
験例を挙げ、冷え痛み等に処方されております。
特に冷えと頭痛の漢方に31呉茱萸湯が推奨されることを話されました。
D.高齢者(老年症候群)の漢方処方
54抑肝散の薬理作用
グルタミン酸放出抑制作用、セロトニン抑制作用があり、認知症の問題行動における昼夜逆転現象の治験例を紹介されました。
7八味地黄丸、107牛車腎気丸
老年症候群の諸症状に対して使用する漢方薬の代表処方として7八味地黄丸、107牛車腎気丸が挙げられる。加齢に伴う冷え、倦怠感と夜間頻尿の2治験例を紹介されており、老年症候群に使用する処方選択のポイントを解説されました。
西田先生は血管薬理の研究をされており7八味地黄丸の脈派改善を研究され
ており血管弛緩作用、加齢変化の影響を研究されています。
7八味地黄丸類他3処方との血管弛緩作用の比較を紹介しました。
最後に漢方・生薬医療の過去から未来と題し症例集積研究⇒未知の作用機序
の解析等⇒「未病を治療する」の解明の研究をしておられます。
現在、漢方外来として冷え性、生理痛、更年期障害、肩こり、等の女性特有
の悩みに加え神経痛、しびれ、食思不振、便秘などでお困りの方を漢方という
方法で治療しておられます。
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