平成29年8月5日
「上肢痛・下肢痛を伴った脊椎疾患における慢性疼痛の薬物治療」
天理よろづ相談所病院 整形外科 関 賢二先生
  六週間から一年間以上、長期間続く腰痛におけるNICEのガイドラインではアセトアミノフェン、NSAID、弱オピオイドが推奨されている。
 三か月までは運動療法、理学療法、鍼を推奨している。ベルト・コルセット、牽引、注射は推奨されていない。
 脊椎固定術は推奨されており、天理よろづ相談所病院でも積極的に取り組んでいる。
 神経障害性疼痛におけるNICEのガイドラインではトリプタノール、サインバルタ、ガバペン、リリカの四剤が第一選択薬として選択されている。日本のペインクリニック学会のガイドラインでもほぼ同様の記載である。
 神経痛の伴わない腰痛症に関しては副作用の少ないNSAID・セレコックスは有効である。
 アセトアミノフェンは四〇〇〇rまでの使用が可能であり副作用も少ないが効果は弱い。
 オピオイド製剤はCDCガイドラインにおいて使用量は五〇MME(モルヒネ換算五〇r/日)を超えるとよく考えて、九〇MMEは超えないことと改訂があった。これはトラマドール製剤二五〇rに相当しており、トラムセット六錠(二二五r)、トラマドール二五rは一〇錠、ワントラム二錠(二〇〇r)に相当している。トラマドール製剤は効果はあるが長期の安全性・効果に関する報告が少ない。
 サインバルタ、トリプタノールはうつ病患者の腰痛には効果があるが副作用が多く、使いづらい面もある。
 リリカは日本のガイドラインにおいても第一選択薬で推奨されており脊椎後角に効く薬剤である。ガバペンより長期に使用が可能な薬剤であり睡眠を大きく改善する。帯状疱疹後神経痛の症状である灼熱痛、アロディニア等の症状を訴える腰痛患者には効果が期待できる。
 今後の薬物治療においてはトラマドール、アセトアミノフェン、サインバルタ、リリカ、NSAIDを組み合わせて治療していく必要性がある。


 

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