平成30年3月31日 |
「CKD(慢性腎臓病)の診断と治療〜ADPKDを含めて〜」」 |
奈良県立医科大学 腎臓内科 助教 鮫島 謙一先生 |
CKD(慢性腎臓病)の患者さんは一、三三〇万人(成人の八人に一人)いると考えられ、新たな国民病ともいわれています。放置したままにしておくと、末期腎不全となって、人工透析や腎移植を受けなければ生きられなくなってしまいます。末期腎不全は全世界的に増え続けており、いわゆる“隠れ腎臓病”のうちに、早期発見、早期治療することが大切です。 現在、日本には約一、三三〇万人のCKD患者がいるといわれています。これは、成人の約八人に一人にあたる数です。また、人工透析を受けている患者さんも、二〇一三年末には三十一万人を超え、その割合は少なくなっているものの、いぜん増え続けております。近い将来、国民四〇〇人に一人が人工透析を受けるようになると予想されています。 さらに、CKDでは、心臓病や脳卒中などの心血管疾患にもなりやすいことが明らかになっており、いかにCKDを治療し、心血管疾患を予防するかが大きな問題となっています。 また、CKDの危険因子として代表的なものに、肥満、糖尿病、高血圧、脂質代謝異常、喫煙などがあります。 CKDを進行させないためには、食事の塩分を減らす・肥満を予防する・禁煙など生活週間の改善とともに、血圧・脂質・糖代謝などを総合的にコントロールする必要があります。 そのためには、自宅で体重や血圧を測定することが大事です。 一方、常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)とは、腎臓に嚢胞(水がたまった袋)がたくさんできて、腎臓が大きくなり、腎臓の働きが徐々に低下していく、遺伝性の病気です。腎臓以外にも、肝臓にたくさん嚢胞ができる人もいます。全身の血管にも異常があり、高血圧、脳動脈瘤、心臓の弁異常を伴う頻度が高くなります。その結果、脳出血・くも膜下出血の頻度が高くなります。今回はこのADPKDに関する診断・治療に関する話題も含め、腎疾患に関するご説明をさせて頂きました。 |
このページのトップに戻る 定例講演会の目次のページに戻る 天理地区医師会のトップページに戻る |