平成30年10月27日
「インフルエンザに対する感染対策と治療」
天理よろづ相談所病院 感染症管理センター 田中 栄作先生
 インフルエンザウイルスにはA、B、C、Dの四種類があるが、水鳥を自然宿主とするA型が、家禽や豚の体内で変異して人への感染力を獲得し、世界的流行(パンデミック)を引き起こす。その後季節性インフルエンザとして定着したA(H5N1)pdm09、A(H3N2)香港型が、B型と共に現在の流行の主流を占めている。なおB型の自然宿主は不明であり、パンデミックを引き起こすこともない。インフルエンザは、主に咳やくしゃみによって飛び散ったウイルスを含む水滴を吸い込む飛沫感染で広がっていく。感染すると一〜二日の潜伏期を経て、高熱、悪寒、筋肉痛や全身倦怠感などの症状が出るほか、肺炎や脳症などの合併症を引き起こすことがあり注意が必要である。予防策としては、ワクチン接種、マスク、うがい、手洗いが発症率を減少させることが報告されているが、中でもワクチンは約六割の有効率が実証されており、完璧ではないものの最も有効な手段である。
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