平成30年11月24日
「高齢者の排尿障害について〜過活動膀胱・夜間排尿について〜」
天理よろづ相談所病院 泌尿器科 副部長 川西 博晃先生
 高齢者の排尿障害は、生活の質(QOL)を低下させる問題です。排尿の問題は四十歳代から生じてくるといわれているものの、後期高齢者ともなると、排尿障害を抱える人は一気に増えてきます。今回は尿意切迫と夜間頻尿についてお話しさせていただきました。
尿意切迫感(突然現れる強い尿意)を主症状とし、頻尿あるいは切迫性尿失禁をともなう自覚症状を特徴とする症状症候群を過活動膀胱といいます。「膀胱訓練」、「骨盤底筋体操」などの行動療法もありますが、まず薬物療法を行うのが一般的です。治療薬には抗コリン剤とβ3作動薬の2系統の薬があります。
夜間頻尿は夜間排尿のため一回以上起きなければならないという訴えのことですが、実際の臨床では二回以上が問題となります。排尿記録をつけることにより一回の排尿量(膀胱に溜めることができる膀胱容量)と排尿回数を知ることができ、おおよその原因を知ることができます。水分過剰摂取、睡眠障害、低膀胱容量など、原因に応じた対策が必要です。脳梗塞や心筋梗塞が予防できると信じて寝前や夜間にたくさんの水分をとる方がいますが、科学的根拠はなく、水分の摂りすぎで頻尿になっている場合は水分を控えることが必要です。


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