平成21年3月

「在宅医療を支えるネットワーク構築に向けて」

1.在宅療養支援診療所届出に関するアンケート集計結果について
当地区における在宅医療をより一層充実させるために、在宅医療を行う先生方が連携保険医として掲載し、在宅療養支援診療所としての届出を行ってはどうかという提案が、友永会長よりなされました。昨年秋に、この提案に対する会員の先生方のお考えを聞かせていただくため当地区内の二十六医療機関にアンケートを行いましたところ、ご多忙中にもかかわらず、多くの先生方からご回答をいただき有難うございました。その結果をご報告させていただきます。
先ず、在宅医療について現在行っている、あるいは今後行う予定であるとご回答いただいたのは、十五医療機関に上り、会員先生方の在宅医療に対する関心の高さが窺われました。その一方で、既に在宅療養支援診療所として届出を行っているのは、波多野診療所、東山診療所を含めて四機関にとどまっており、在宅医療を行いながらも、三六五日二十四時間対応という、医師ひとりの診療所にとっては厳しい要件のため、届出を見合わせている施設が多くあると考えられました。この点をクリアし、在宅医療の拠点となる在宅療養支援診療所を増やすためには、やはり個々の診療所レベルでの対応では限界があり、地区全体としてのネットワーク作りが必要と思われました。この機会に在宅療養支援診療所の届出を行いたいと希望された医療機関は六施設で、この六施設については、できるだけ早いうちに、申請に必要な書類等を事務局で準備をし、届出を行いたいと思います。

2.第一回の会合について
前述のアンケート結果を踏まえて、三月十二日に在宅医療を支えるネットワーク構築に向けての第一回会合を行いました。参加者は友永会長、宮城信行、鹿子木和彦両副会長、山下先生、宮城剛先生、鹿子木英毅の六名でした。
今回の提案の実現に向けてまず、在宅療養支援診療所の届出をできるだけ早期に行うことが確認されました。連携訪問看護ステーションとしては地区内の四つの事業所が、緊急時に入院をお願いする後方支援病院としては高井病院、高宮病院、天理市立病院、奈良東病院が御協力いただけるとのことでした。
続いて実際の連携に当たっての具体的な方法や問題点について意見が出されました。診療所間の連携については、昨年定例会で御講演いただいた長崎市での取り組みを参考に、主治医と副主治医がペアとなってひとりの患者の診療に当たる方法が提案されました。この方法では、主治医が不在時の対応だけでなく、経験豊富な先生の知識や技術を皆で共有することで、全体のレベルアップにつながることが期待されるとのことでした。もちろん全ての症例で副主治医を置くわけでなく、今まで通りひとりで見ていくことも可能です。しばらくは癌の終末期の症例を中心に、この方法でやってみて、不都合がないかを次の機会に検討するということになりました。
病院と診療所間の連携に関してでは、複数の先生より入院中の患者が在宅に帰る前に退院前カンファレンスを積極的に開いてほしいとの要望がありました。入院から在宅に移行する際に、家族と病院主治医、在宅主治医、訪問看護師、介護担当者が顔合わせをすることで、円滑な在宅医療の開始が可能となり、家族の不安を和らげるためにもこのカンファレンスの意義は大きいと思われますので、先生方の御協力をお願いいたします。
在宅医療に対するスタンスは各先生方によっても異なりますし、今まで独自のやり方で在宅医療に取り組んでこられた医療機関が協力してやっていくためには、解決すべき問題が山積していると思います。他の地区の状況を見ましても、こういった取り組みが円滑に動くには、ある程度の時間がかかっているようです。それでも今後益々増加してくるであろう在宅患者を支えるためには、当地区においても病院、診療所、訪問看護ステーション、介護担当者の協力体制を今以上に緊密なものとする必要があると考えられますので、皆様のご協力のほど宜しくお願いいたします。







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