平成21年6月

第一回地域医療・介護連携実務者会議について

医療、介護の分野での機能分化が進む中、高齢者やがん末期患者等が安心して療養生活を送っていただくためには、病院、診療所、介護施設間の緊密な連携が不可欠です。そのためにはそれぞれの施設が独自の考えで動くのではなく、目標を共有する必要があると考えられます。天理市における医療、介護連携システムの構築に向けての第一歩として、地区内の病院、診療所、訪問看護ステーション、介護事業所、包括支援センター、さらに天理市の行政担当者が集まり、五月二十一日天理市文化センターにおいて、第一回地域医療・介護連携実務者会議が開催されました。当地区医師会から友永会長、宮城、鹿子木両副会長、山下先生、鹿子木(英)が、また地区内の五病院からは、各担当者が出席しました。
今回は第一回ということで、それぞれの施設の現状と問題点をお話いただきました。
当地区内には五つの病院がありますが、それぞれ急性期、亜急性期、慢性期、療養型とある程度役割分担が認知されており、病院間の連携については円滑に行われているようです。一方で入退院や転院時に、地域との窓口となる地域連携室については、設置されて日が浅いこともあって十分に機能していないとの意見が病院側から出されました。特によろづ病院のような大規模病院では、各科が独自のやり方で長年動いてきているため、窓口を一本化するのは困難とのことでした。
診療所、ケアマネージャー、訪問看護ステーションからの意見で多く聞かれたのは、退院から在宅に移行する際に、準備が整っていないケースがしばしばみられる点でした。患者や家族の意思の確認が不十分であったり、介護保険の申請がされておらず、退院時にベッドやポータブルトイレといった介護用品が準備できていないようでは円滑に在宅に移行することは困難です。この点を解決するために、退院前カンファレンスを開いて欲しいという声が多く聞かれました。実際、退院前に担当者が集まって話し合うことで、うまく在宅に移行できた例も紹介されました。一方で病院側からは、ケアマネージャーや在宅主治医がどういった情報を必要としているのかがわからないといった意見も出され、情報提供の内容や方法が今後の検討課題と考えられました。
在宅療養を開始するにあたり、担当するケアマネージャーによって、対応能力にばらつきがあることが問題という意見も聞かれました。勉強会などを通じて全体のレベルアップを図る必要性が指摘されました。
介護事業所からは、全例ではないものの、必要に応じて病院や診療所の主治医に連絡をとり、情報収集されている現状が報告されました。多くの利用者を抱え時間的制約のある中で、精一杯努力されている様子がうかがわれました。
その他の問題提起としては、ひとりひとりをゆっくり診察する時間の取れない病院主治医に代わり、診療所の医師が介護保険主治医意見書を書くようにしてはどうかという意見や、入院治療が必要となった認知症患者やレスパイト入院の受け入れ等、現在医療、介護が抱えている様々な問題について中身の濃い話し合いがされ、第一回にして非常に意義深い会合となりました。
今後も回を重ねることで、医療、介護を必要とする方々が、どこで療養することになっても、切れ目のない十分なサービスを受けていただくことができるような連携システムを作るよう努力して参りますので、会員の先生方のご協力をお願いいたします。



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