平成21年8月

レセプトオンライン化について

先般県医師会から藤岡理事が当地区医師会に出向いて来ていただき、レセプトオンライン化の現状と見通しについて話された。これまで日医はレセプトオンライン化に反対の姿勢をとり、少なくとも手上げ方式でとの方針のようであったが、実際は着々と完全実施に向けて進んでいる。たとえば調剤薬局は奈良県で数百あると思われるが、規模の小さいものが多い中で既にほぼ完全実施されているとのことであった。日医もオルカのレセコンの普及を進めてきたが、この特長の一つとしてレセプトオンライン化対応を謳っている。したがって、表向き反対の姿勢は続けているものの、現実的には完全実施されると考えねばならないと、今回の講演を聴いて理解した。
しかし、幾つかの納得のいかない問題がある。ひとつは電子化したレセプトデータを伝送する際に、NTTフレッツ光の回線を使用する方が価格的に有利に設定されていることである。すでにeoネットや、他の光回線を使用するときには別の様式で、付加的な料金が発生する。かねがね厚生労働省のNTTとの密接な繋がりぶりが窺われている。特定健診の伝送処理にNTT関連会社が大々的に関与していることはすでに知られていることである。おそらく特定健診の中央処理システムはNTT関連会社が製造管理しているのであろう。データ伝送に関しては本来無料でできるようにすべきである。紙レセプトは各診療所が保険事務所に持参すれば受け付けてくれる。この際交通費以外には一切費用は発生しない。ついでの道筋で持参したら全くの無料である。元々そのような手続きのものを、わざわざ有料にして届けさせる権利が本当に保険制度の中で規定されているのか知りたいところである。
二つめは、ICD病名コードについてである。レセプトの病名をコード化しないと電算処理が極めて非効率になる。このためすべての病名にコードを符っているが、国際標準のICD病名が使用されている。ただ移行期として厚労省の決めた病名表が現在採用され、将来はICDに移行するものとされている。この病名がなかなかやっかいな代物である。PCIの治療をすると、経皮的冠動脈形成術などと一般的な病名ではいかない。細かく見るといろいろと不都合がある。私自身も十分には分かっていない。動き出すと何でこうなのと皆さんも思うに違いない。
結局、日医が建前でレセプトオンライン化反対を叫んで来たため、実質的な運用について意見を述べる機会も場所もなく、一方的に行政側の都合を押しつけて推進される結果を招いた。完全実施化が避けられず、避けようという本心がない以上、速やかに協力する旨を明確にして、医師会会員の要望を出来る限りくみ上げるような運用方法を提言していくべきである。





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