平成21年9月

災害救急訓練に参加して

全般に見てよく構成された訓練大会でした。関連する団体全体に目配りしていたのが印象に残る。医師会から十数人の医師が参加し、奈良県看護協会からも参加し、お互いに協力してトリアージの訓練に参加した。看護学校の生徒達が模擬患者になって、そのそれぞれに傷害名、血圧、脈拍、呼吸数などを記載された札がつけられ、それをもとにトリアージを実施する。この訓練に参加して気になることが幾つかあったので紹介する。想定されたのは地震災害で、家屋倒壊、火事、車事故、鉄道での車両転覆事故、ビル内の災害救済訓練など多彩な催しであった。校舎の屋上にけが人が待機し、ヘリコプターが飛来して空中から救助する場面もあった。ヘリコプターには、消防、警察、県災害対策、自衛隊など何度も飛んできた。バイク隊もボランティア、警察、自衛隊と来た。つまり行政組織の縦割りそのままで、一括した対策組織が存在しない。この中で、自衛隊の参加だけが会場から阻害された形で、ひそひそとやられていつ終わったのかもハッキリしなかったのが印象に残った。火災、車両事故、人命救護などすべてを一つの組織で完結できるのは自衛隊であり、最も優れた災害対策部隊であると考えるが、それが極めて軽い扱いで、縦割りの統率されていない寄せ集めの救助部隊が全面に出てくるのは、明らかに実質的な効果向上を目指しているのではなく、お祭り的な色彩が大きいと考えられた。
われわれ医師会の参加は、日赤部隊と隣り合わせで、しかしお互いの協力は全くなかった。あくまで別々の組織として別々の救助活動が訓練された。転覆した電車内の閉じこめられた人達を救助し、救急車でトリアージテントに送り込まれる。これを0から3まで分類し、1,2を後方病院に搬送するのであるが、送り込む救急車が、後方病院に搬送する救急車と同じであるので、トリアージされた患者がテントの中に溢れて出ていかない事態が生じた。ここで改善されるべき問題点としては、訓練であるから仕方ないのかも知れないが、、数に限りある救急車を当てにせず、一般車で搬送する流れも想定する必要がある。同じ1と判定された患者にも重傷度というか、救済可能度の違いがあるはずで、この点も詳細に検討されるべきである。医師会レベルで改善点を取り上げ、来年につなぐ長期の構想が必要であると思われた。






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