平成22年5月 | ![]() |
医療政策を建議する新組織について |
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今回の会長選挙で藤本先生が立候補されたことは、惰性に流されない緊張感のある医師会運営という点で大変意義深いことであったと思っております。藤本先生は県医師会のやるべきこととして、三本の柱を提示されました。その中に医療政策を挙げてその重要性を強調されましたが、私も大いに共感するところであります。医療政策に関する具体的な問題点を一つ例に挙げたいと思います。 二月の会長協議会で今回の新型インフルエンザワクチン配布に関する質問が出ました。接種最優先グループの中に医療従事者がもともと含まれていたはずなのに、実際の配布量は極めて不十分であった。今後このようなことが無いように、行政に申し入れするべきでないかとの趣旨の発言でした。 実際医療従事者の優先分として配布されたのは必要数の半分に満たないものでした。その後優先順位は更に無視され、進学受験者にまで優先枠が拡大されるに至りました。この間に医療従事者の追加枠が新たに追加されることはありませんでした。パンデミックと戦う必要条件として、戦う当事者をまず守って戦力とすることが戦略上欠かせないことは、どなたも容易に理解できるはずです。また我々医療従事者の安全に十分配慮するのは医師会組織の使命です。 最近東北大学の渡辺彰教授の話をインフルエンザ講演会で聞く機会がありましたが、仙台方式では全診療所が発熱外来機能を果たすのに、その前提として全医療従事者にマスクと予防用のタミフルを一か月分配布したと聞きました。仙台市医師会に電話で直接確認しましたが、各医療機関に平均10名分を一月分配布したそうです。これこそパンデミックに当たってのリーダーの果たすべき役割であると思います。医療政策とは国レベルで医療が最大の力を発揮できるように、方針を立て実行していく施策であると思います。このような長期に見て国の医療政策に大きく関わる問題をじっくり考え、正しい提言をしていくことが医師会の私たちの使命です。 現在の医師会には目の前に迫った利害のみに関心と力が注がれ、大局的観点から国家レベルでの医療政策を思索する姿勢が乏しいと考えます。そこで提言をしたいと思います。本代議員会の下部組織として医療政策委員会を設置し、これに発議権と調査権を付与して、じっくりと医療政策を考え提言していく機関とすることを提案します。代議員の中から10名くらい選出し、副会長と理事若干名を含めた委員会を立ち上げます。 いまの医師会は執行部が日々の施策実施に多忙を極めて医療政策に時間を割く余裕がないこと、また県医師会の最高意志決定機関である代議員会が議論を深めることなく、トップダウンの意志決定を承認するだけの機関となっていること。さらに会員の医療政策への思いをボトムアップ方式で吸い上げる機関がないこと、このような不備を補う上でぜひ必要と考えますのでご検討下さい。次回定例会までに方針を明確にして下さい。もしこの医療政策委員会が設置されれば、当面の問題として、危機管理における医療スタッフの身分保障について、そして、日本医師政治連盟のあり方について取り上げていただくことを切に要望いたします。
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