平成22年9月

第七回天理地区病診連携講演会及び介護委員会、
                在宅ネットワーク合同会議開催の報告

 八月二十一日にウエルカムハウス コトブキにおいて第七回天理地区病診連携講演会が開催され、会員先生方のみならず介護関係者、訪問看護師等多くの方々にご参加いただきました。前半は宮城信行副会長の司会で奈良東病院副院長、坂本 永先生をお招きし“当院の考える地域医療連携と取り組み”というテーマでご講演いただきました。講演の中では奈良東病院を中心に特養、老健をはじめグループホームや有料老人ホーム、高齢者住宅や訪問看護ステーション等県内外に様々な事業を展開されている現状をご報告いただきました。奈良東病院も一般病床から介護療養型病床まで二五〇床以上を備え、幅広い患者さんを受け入れる体制が整っているとのことでした。多くの関連施設を持たれている関係でベッドの空きがないことも多く、看護体制上重症症例の受け入れは困難な場合もあるそうですが、地域医療連携室を通じて可能な限り地域のニーズに応えたいとのお話でした。
 続いて友永会長による症例報告が行われました。認知症を持つ患者さんの病状が悪化し、入院が必要となった場合の対応の難しさについて具体的な症例をあげてお話いただきました。この問題は多くの先生方が同様の経験をお持ちのことと思いますが、それぞれの医療機関の事情もあり解決策を見つけるのは容易ではありません。認知症患者を専門に扱うセンターの設置等の希望が出されましたが、当面は病院と診療所間の連携を密にして個々の症例に応じた適切な対応が必要ではないでしょうか。
 病診連携講演会終了後に引き続き介護委員会、在宅ネットワーク合同会議が開催されました。これは郡山保健所が中心となり神経難病、特に筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者さんを在宅で受け入れるための体制の整備を目的としたものです。会議に先立ち天理よろづ相談所病院白川分院の橋本修治先生にALSの概要につきお話いただきました。その中で当地区にも数人の患者さんがおられ現在在宅療養中であること、人工呼吸器や意思疎通の困難さを含めこの疾患特有の問題が存在すること等をお話いただきました。その後、郡山保健所の担当者から七月に当地区会員を対象に行われたアンケート結果が報告され、当地区においても多くの医療機関が神経難病患者の在宅医療に協力するとの返答が寄せられたようです。その一方で患者を受け入れる条件として、ほとんどの先生は病院の十分な支援が必要と回答されており、この問題においても緊密な病診連携が不可欠であると考えられます。その後実際にALS患者を受け持っている訪問看護ステーションからケアしていく上での苦労や問題点についての発表があり、医師、介護関係者、訪問看護師が一緒になって活発な話し合いが行われました。
 在宅医療に携わる多職種の人間が直接顔をあわせて議論することができるこの会は、当地区における在宅医療のネットワーク作りに大きな役割を果たしています。今後もより多くの先生方にご参加いただけるよう宜しくお願い申し上げます。



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