COPDの治療と管理 −包括的リハビリテーションー
                奈良県立奈良病院 呼吸器内科  竹澤 祐一

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の世界的増加があり、 WHOは2020年には世界の死亡原因の3位を占めるであろうと推測している。昨年度の日本で行われた疫学調査(NICE Study)で、40歳以上の成人の8.5%、約530万人と推定され、非常に高い有病率であることがわかった。しかし一般臨床の場でCOPDと診断されている患者は全体の10%に満たず、中等症以上の進行性例が大部分を占めており、COPDに対する認識は低いものと考えられる。
 2001年に発表された各国のガイドラインを統合した国際ガイドライン(GOLD)はCOPDの治療管理の世界的普及をはかったものである。本ガイドラインはCOPDを従来の慢性気管支炎、肺気腫の複合的疾患群とせず、独立した疾患単位と定義し、スパイロメトリーの閉塞性障害の程度で重症度を決め、重症度に応じた治療法をEBMに基づいて述べられており、実地医療現場での使用がしやすいように作成されている。今回、GOLDを参考として、安定期のCOPDの治療法(禁煙、吸入による気管支拡張剤が主体の薬物治療、呼吸リハビリテーション、栄養療法、酸素治療、外科療法の非薬物治療)について説明し、昨年度から当院で開始した入院下での包括的リハビリテーションの試みについてもふれたい。

                    H15.3.15 於 美榛苑
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