宇陀郡医師会学術講演会

 

特別講演 「心エコーの有用性―臨床と実技」

                       

済生会中和病院内科 

大貫雅弘

 

昨年本医師会長谷口純一先生から心エコーの講演依頼がありました。日常検査で一般臨床程度の知識しか持ち合わせていないので躊躇しましたが、医師会の皆様とご一緒に勉強させていただく良い機会と考え、お引き受けしました。

 エコー検査は秒速1540mの超音波を使用いたしますが、検査をするにあたりその特徴をよく知っておく必要があります。減衰、分解能、固有音速、音響インピーダンスなどが関与し、多重エコーで偽像を結んだり、Acoustic shadowは有を無にし診断を狂わせます。超音波が切る心臓の断面の解剖についておさらいし、2-Dで基本画面となる傍胸骨長軸像、傍胸骨短軸像、心尖部像について、次にMモード、ドップラー、PW、CWについて解説させて頂きました。後天性心疾患を中心に動画の供覧をさせていただき、最後にメーカーのご協力で実技をさせて頂きました。有難う御座いました。

超音波の特徴を知っておくことはエコーによる誤診を防ぎます。

超音波は媒体によって減衰の程度がことなります。とくに生体では肺、骨による減衰が顕著です。プローブも口径の大きいほうが方位分解能がよいが、肋間に入らなくなる。

 

 
 


                                       

 
 


周波数が高いと分解能は向上します。しかし、減衰も大きくなります。最近では、1MHzから12MHzまで使用できる機種もでてまいりました。             

 

 



音響インピーダンスの違いで、反射と透過がおこり、多重エコーによる虚像を生じたり、acoustic shadowにより実像が消えることがあります。














出力した超音波の周波数と受信した周波数の差から速度を算出し、向かってくるのは赤、去っていくのは青シグナルで表示します。






PWは、ある一点の情報をえることが可能で、例えば左室流入血パターン(左室拡張障害)や左房への肺静脈流入血パターン(心不全)を観察する場合などに有効です。

 
 
 
 


CWは線上にある血流情報が全て含まれるため、最大速度から最大圧較差あるいはトレースすることで平均圧較差を測定することが可能です。

 
 
 
 


プローブによる2−D断面画像を理解するうえで、もう一度心臓の解剖を思い返してください。

 

 

 

 

 

 


最も基本となる断面です。

 
 
 
 


心臓の輪切り像がでます。虚血性心疾患、肥大型心筋症、弁疾患などには欠かせない検査です。

 
 
 
 

 

 

 
 


心エコーの計測は、Mモードですることが多い。しかし、左室容量や駆出率は3次元を1次元で計算しているので、心拡大が著しい場合や局所性の壁運動の変化があるばあいは過小評価も過大評価もありうる。

 
 
 
 

                         平成14年1月26日 於 美榛苑                   


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