急性冠症候群 ー急性期治療と慢性期管理ー
                天理よろづ相談所病院循環器内科  和泉 俊明

1980年代後半、冠動脈造影による画像診断および病理学的研究が進み、これまで不安定狭心症と急性心筋梗塞に大別されてきた急性な臨床経過を呈する虚血性心疾患は粥腫の破錠とそれに続発する冠動脈の血栓性閉塞により発症する事が明らかになり、急性冠症候群と総称されるようになった。1990年代には経皮的冠動脈形成術(POBA)をはじめ、ステント、ロタブレーター、DCA等のいわゆる new device が次々臨床応用された結果、急性冠症候群の治療は従来の保存的治療から侵襲的再灌流療法に移行し、急性期死亡率(急性期院内死亡率7−8%、ちなみに1980年代は十数%)・予後・慢性期QOLは大幅に改善した。現在でも薬物塗布ステント、ロタブレータおよびステント併用療法など再狭窄を減らす様々な試みが行われる一方、更なる早期再灌流を目指して静注型tPA製剤が注目を集めている。

慢性期管理についても、さまざまな大規模臨床試験が報告されておりEBMが重視されるようになった。抗血小板薬やCa拮抗薬,β遮断薬,ACE阻害薬等の降圧剤,プロブコール,スタチン等の高脂血症治療薬が予後改善,再狭窄抑制に働く事が証明されている 特にスタチン製剤による強力な脂質降下療法は血管形成術と同レベルの心事故抑制効果を示す事が報告され、慢性期高脂血症管理の重要性が確認された。最近ではJBCMI(Tha Japanese βblocker and Calcium antagonist in Myocardial Infarction)やJ−LIT(Japan Lipid Interventional Trial)等の日本人を対象とした大規模臨床試験も報告されており、今後、より日本人に適した処方、投与量が明らかされると思われる。

                 H14.9.21
                      於 奥香落山荘
                           
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