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平成22年11月27日 「RA系と高血圧」 |
クリニック神宮前 高見 武志 先生 |
高血圧の治療は対象患者によって降圧目標や降圧薬が異なってくる。心血管のリスク また、外来血圧だけでなく、家庭血圧やABPMを用いた24時間血圧測定により、仮面高血圧、夜間高血圧、早朝高血圧等が心血管のリスクになることがわかってきた。これらのことから、外来血圧だけでなく、少なくとも早朝時の家庭血圧を測定し、薬剤の有効な時間等を考えて薬剤の種類、投与時間の設定を考えなければならない。個々の患者に対してOrder madeな治療が必要になってきた。降圧薬は第1選択薬としてCa拮抗薬、ARB/ACEI、利尿薬、β遮断薬があげられる。 これらのうち、種々の合併症を持つ高血圧の適応が一番多いのがARB/ACEIである。しかし、ACEIは日本人では、空咳が多く十分な容量が使えないため、十分な降圧が得られないことが多く、また臓器保護の面からも十分とはいえない。そこで、ARBの使用が多くなってきた。ARBはアンギオテンシンUのAT1受容体をblockすることで種々の病態を抑えてきたが、長期にわたる治療でアルドステロンの上昇をきたしたり、レニン活性が高くなることがあり、RA系が再び活性化することが知られている。そこで、直接レニンを阻害するラジデスを投与することでRA系の根本を押さえることがわかってきた。ラジレスは、糖尿病、CKD、心肥大、心不全等の合併症を持った症例に有効であるとの報告もあり、当院でも同様の症例を経験している。特にACEI/ARBではたんぱく尿の改善はするが、クレアチニンの上昇、すなわちeGFRの低下をきたすことは古くから知られている。 しかし、この薬剤は、まだまだevidenceが十分なものではなく、今後の大規模臨床試験の結果をみて判断しなければならない。 |