奈良県医師会 久保 良一
アレルギー性鼻炎は鼻の粘膜の病気で、主な三つの症状としては、発作性の繰り返すくしゃみ、水の様な鼻水および鼻詰まりがあり、現れる時期期間から通年性と季節性に分けられます。一年を通じて起こる通年性の原因は、主に室内の塵やダニですが、幾つかの花粉に原因があると、通年性に鼻炎がでることもあります。
季節性は花粉症とも呼ばれ、スギ、ヒノキ科、イネ科やブタクサなどの雑草の花粉が原因となります。
近年、スギ花粉による花粉症が大変増加していて、多くの人がその症状に悩んでおられます。一般の人にスギ花粉に対するアレルギーがあるかどうか調べたところ、最近では約60%の方が陽性に出るとまでいわれています。発症には遺伝の関わりが大きいとも言われ、アレルギー性鼻炎の有病率は20%を超えるまでになっています。
花粉症がおこるメカニズムは、花粉に対してアレルギーがある人の鼻粘膜に花粉が付くと、マスト細胞と呼ばれている細胞の表面で、膜にある免疫抗体(IgE)に、花粉が抗原として結合します。そして化学伝達物質であるヒスタミンやロイコトリエンなどが放出され、これらの物質が、粘膜の知覚神経を刺激するとくしゃみが、分泌腺や血管に反応すると、鼻水、鼻詰まりが現れます。
治療は、主にアレルギー反応を抑える抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬や鼻噴霧用ステロイド薬が用いられ、症状と重症度に応じて、単独または組み合わせ治療が行われます。なお、治療効果は花粉が飛び始める少し前から早めに、服用した方が良いので、花粉情報を参考に担当医と相談してください。
また、花粉回避の対策も重要です。花粉情報を参考に、メガネやマスクの着用、家の中に花粉を持ち込まないために洗濯物を室内で干す、外出時服や髪を払ってから家に入り、洗顔、うがい、鼻をかむなどを行い、辛い花粉症が少しでも楽になるようにしましょう。