「ピロリ菌」という言葉を、一度は耳にした事があると思います。正式には、ヘリコバクター・ピロリという名前で、胃の中に生息している大変小さな細菌です。感染時期は、まだ免疫力が弱い5歳頃までの乳幼児期で、成人になってからの感染はほとんどありません。乳幼児期の不衛生な飲み水(井戸水など)、感染している家族からの食事介助等が感染原因と考えらえています。
ピロリ菌が原因となる胃疾患としては、「胃がん」「胃MALTリンパ腫」「胃潰瘍(いかいよう)」「萎縮性胃炎(いしゅくせいいえん)」などがあります。
乳幼児期にピロリ菌に感染すると、胃粘膜が徐々に破壊され、胃粘膜には痛覚がないため、自覚症状がほとんどないまま胃炎となります。そこに塩分、アルコール、発がん性物質などが加わる事により、胃がんや胃潰瘍が発生します。
ピロリ菌の検査方法はいくつかあります。胃内視鏡検査をして胃粘膜を採取して調べる方法、血液検査、便検査、尿検査、呼気試験などがあります。ただし、保険を使って調べるには、最初に胃内視鏡検査をして胃がんおよび胃炎の有無などを確認する必要があります。
検査でピロリ菌を認めた場合は、薬を1週間内服する事で9割前後の方が除菌できます。また、一度除菌が成功すると再感染はほとんどないと言われています。その後は胃がん、胃潰瘍の発生頻度が減少します。ただし高齢で除菌を行った場合は、その効果が少ない事も分かっています。
40歳を超えたら胃部症状がなくても、ぜひ一度は、胃内視鏡検査をする事をお勧めします。