「発達障がい」という言葉は、日本ではまだ一般的に使われていますが、医学界では「神経発達症」と呼ばれます。障がいではなく、個性の延長である特性と考えられています。
赤ちゃんは、未知の世界を知るためにいろいろなものを見たり触ったりします。そして周りの人たちとかかわっていきます。しかし赤ちゃん側のかかわる力が弱かったり、大人側の応える力が弱いと、世界は未知のままとなります。定型発達の子ども達は、反応をくれるヒトに強く興味を持つようになりますが、神経発達症の子どもたちはかかわる力が弱いため、よく変化するヒトには不安や恐怖が強くなり、いつも同じで安心できるモノに興味がいきやすくなります。すると周りのヒトとの感覚が共有されにくいため、平均化されずに独特な感覚のまま成長したり、社会の捉え方が独特で、いわゆるマイワールドになりやすく、孤立しやすい傾向があります。
定型発達との境目になるKY(空気が読めない)と呼ばれる人との明確な線引きは難しいのですが、支援なしでは学校や社会で生活することが困難かどうかが一つの基準となっています。神経発達症の診断は、病気というよりは、適切な支援を受けるための通行手形のようなものと考えてもらう方がよいかもしれません。
神経発達症の子が自信を持って社会と関わりを持ち続け、安心できる居場所を持てるためには周囲の正しい理解と早期の療育など本人・家族への支援が不可欠です。