歯周病の原因が細菌であるということがわかったのは比較的最近のことです。ただ一つの細菌によるというわけではなくて、関係する細菌は十種類以上あり、その中でも重要なものが五種類ほどあります。歯周病菌が口の中で増え、歯肉や歯槽骨(しそうこつ)などを痛めてしまう病気が歯周病です。
歯と歯肉(歯茎(しけい))の間にはわずかな隙間があり、ここに歯周病菌が付くと、歯垢(しこう)(プラーク)という菌の塊のようなものを作り、歯石が形成されやすくなります。引き続いて炎症を起こし、歯肉炎を繰り返すと歯周ポケットができ、深くなっていきます。放置して歯周炎が悪化すると、歯を支える歯槽骨が溶け、歯が抜けてしまう結果にもなります。
歯周病はただ単に、歯の病気というだけではなく、いろいろな病気とも関連していることがだんだんわかってきています。糖尿病患者さんでは、歯周病の治療を受けると血糖のコントロールが改善することが報告されています。その逆に、糖尿病をコントロールすることで歯周病に良い影響が出ることもわかっています。
歯周病対策の第一は、毎日の口腔ケアです。すなわち、丁寧な歯磨き(ブラッシング)と歯周プラークへのケアです。プラークの中にある細菌は、バイオフィルムという特殊なマントのようなものに囲まれており、なかなか薬が効きにくい状態です。定期的な歯科受診を行い、プラーク対策の指導を受けることをお勧めします。
「口腔ケア」という題目を唱えるだけでは良い結果は出ません。地味でも、基本的なことをコツコツと実行しないと、絵に描いた餅になります。