そけいヘルニア

足の付け根にピンポン玉のようなふくらみや違和感があれば、そけいヘルニアかもしれません。そけいヘルニアは、本来おなかの中にある内臓脂肪や腸が、筋肉の隙間から出てくることによりおこる病気で、一般には脱腸とも呼ばれています。

子供の病気と思われがちですが、実は大人のそけいヘルニアのほうが多く、その原因は加齢により筋肉などが弱くなることや内臓脂肪の増加などが挙げられています。重たいものを持つ人や立ち仕事の人、スポーツをする人、咳をよくする人など、おなかに圧をかける人も注意が必要です。

痛みなどが少なく恥ずかしい場所であること、また横になると膨らみや違和感がなくなるので受診せずに放っている人も多いですが、症状が進むと飛び出した腸が戻らなくなる「嵌頓(かんとん)」という状態になることがあります。「嵌頓」は突然起こり、起こると飛び出した腸が数時間で腐るため、命にかかわることもあります。

治療方法は手術しかありません。ヘルニアバンドなども販売されていますが、効果が低いためお勧めできません。手術方法ですが、以前は筋肉を縫い寄せて弱いところをふさぐ手術だったため痛みや突っ張りが残ることもありましたが、現在は人工の網を用いてふさぐことが多く、そのような症状は少なくなっています。また人工の網を腹腔鏡で入れるという、痛みも傷もさらに小さくする手術を行っているところもあります。

足の付け根にふくらみや違和感のある方は、「嵌頓」を起こす前に、早めに医療機関を受診することを心がけましょう。