肩腱板は上腕骨頭(じょうわんこっとう)を安定させるための筋組織です。老化で傷みます。転倒転落などで腱板が切れることが多いですが、老化が強ければ外傷がなくても断裂することがあります(図)。
症状は肩関節痛と肩挙上困難です。夜間に痛くて眠れないこともあります。
診断は単純X線写真では分かりにくいです。陳旧例であれば肩峰(けんぽう)と骨頭の間が短くなっていることで診断できることがあります。超音波診断装置やMRIでは肩腱板は明瞭に描出できるので断裂していると診断することができます。
治療は若年者で外傷により発症した肩腱板断裂の場合は手術療法が行われる場合が多いです。近年、内視鏡の技術と手術器具の進歩により関節鏡により腱板を縫着することが出来るようになりました。しかし広範囲の腱板断裂の場合は切開による縫合や筋腱を移行、移植する方法や人工腱板を使う方法が行われることが多いです。
高齢者で外傷がなく発症した肩腱板断裂の治療は、まず鎮痛剤、漢方薬、湿布などを使い、局所麻酔薬や炎症を抑える薬を関節に注入します。効果がなければ手術を行います。
肩腱板断裂に似た病気が、いわゆる五十肩です。五十肩とは、靭帯、腱組織が老化により炎症を起こし、肩関節の関節包が狭くなった結果、肩関節の痛みや動きの制限が生じている状態です。五十肩は半年から2年くらいでほとんど完治します。
肩の痛みが持続しておられる方は、ぜひ整形外科を受診されることをお勧めします。
(図)