過活動膀胱

過活動膀胱は「急に我慢できないような尿意が起こる」「トイレが近い」「トイレまで我慢ができずに尿が漏れてしまう」などの症状を示す病気です。40歳以上の8人に1人がこの症状を経験していると言われています。

原因は加齢に伴うものが多いですが、男性は前立腺肥大症によるもの、女性は出産や膀胱、子宮などの骨盤臓器の脱出によるものもあります。また、脳梗塞、脳出血などの脳血管障害、パーキンソン病などの神経疾患に伴うものもあります。

検査は問診や簡単な質問用紙を使って症状を把握します。 尿検査や超音波検査を行い、膀胱炎などの尿路感染や尿路結石、がんなどの他の病気の存在が除外されれば、過活動膀胱と診断して治療を始めます。

治療は行動療法と薬物治療を併用して行います。過剰な水分摂取や利尿作用のあるカフェインやアルコールの摂取を控えるなど、日常生活を見直すことは過活動膀胱を改善する上で大切です。薬物治療は膀胱を拡張する薬や膀胱の過剰な収縮を抑制する薬を投与します。男性では前立腺肥大症の薬を併用することもあります。また最近では、薬で効果がない重症の過活動膀胱に対して手術を行うこともあります。膀胱の筋肉を緩める薬(A型ボツリヌストキシン)を膀胱壁に直接注射するボツリヌス治療や、体内植込み型の神経刺激装置を臀部に植込み、排泄に関係する神経に持続的に電気刺激を与える仙骨神経刺激療法(SNM)が保険適応になっており、難治性過活動膀胱に対して効果をあげています。

過活動膀胱は命に関わる病気ではないですが、上記症状でお困りの方は是非お近くの医療機関にご相談ください。