憩室と大腸憩室症

憩室とは、食道から大腸までの消化管の壁の一部が外側に押し出されて、風船・ポケット状に膨らみ、飛び出た事を言います。大腸にできる事が一番多く、大腸憩室症と呼ばれる病気の原因となる事があります。大腸憩室はほとんど後天性で起こりますが、近年高齢化や食生活の欧米化により増加傾向にあります。食物繊維の摂取不足が起こると、便秘が起こりやすくなり、大腸の内圧が上昇し、大腸の壁が膨らみ憩室ができます。70歳以上では約50%に大腸憩室があると言われています。

憩室の多くは無症状で経過しますが、時には憩室出血や憩室炎が起こります。憩室出血が起こると、便に血が混じり血便の原因になります。

また憩室炎は、憩室に細菌が感染して起こり、発熱や腹痛(主に下腹部)、吐き気、便秘、下痢などが現れます。憩室炎の治療は安静や食事制限を行い、炎症の程度により抗生物質を投与します。軽症は通院治療でほとんど改善しますが、症状や炎症の程度に応じて入院治療を行います。また腸に穴が開いたり腹膜炎などを伴う場合には、外科的手術が必要です。

予防は加齢の要因もありますが、食事は動物性蛋白質や高脂肪食の摂り過ぎを避け、食物繊維を多く含む食事に努め、できるだけ便秘にならないように心掛けてください。

検査で大腸憩室があると言われた方は、便秘の解消が大切で、憩室炎の発症リスクでもある喫煙や肥満にも注意をしてください。