閉経前後の女性の更年期障害は有名ですが、男性にも更年期障害があることはご存知でしょうか? 男性の更年期障害は加齢やストレスにより男性ホルモン(テストステロン)が低下することにより起こります。男性ホルモンは20歳ごろにピークになり、40代以降からゆるやかに低下します。男性ホルモンは筋肉や性機能に働くだけでなく、認知機能や集中力、判断力のような重要な精神機能にも関係します。
男性ホルモンが加齢だけでなく、疲れやストレス、睡眠不足などで低下するとED(勃起障害)のような男性機能の低下のほか、のぼせ、多汗、倦怠感、筋肉や関節の痛み、筋力低下、骨密度低下、頭痛、めまい、耳鳴り、頻尿などの身体症状と不眠、無気力、イライラ、集中力や記憶力の低下などの精神症状を来します。
症状だけでうつ病などの精神疾患と鑑別することは困難ですが、男性更年期は男性ホルモンの低下によるものなので、上記症状に加えて男性ホルモンの低下が必須条件になります。
検査はAMSスコアという質問票を書くことと血液検査による男性ホルモンの数値の測定です。質問票で自覚症状の基準を満たし、男性ホルモンが基準値を下回っていると男性更年期障害と診断します。
治療は軽症の場合は補中益気湯などの漢方薬を使い、自覚症状が強い場合や男性ホルモンの数値がかなり低い場合は男性ホルモンの注射による補充療法を行います。また、適度な運動をする、太陽の光を浴びる、バランスの良い食生活をする、しっかりとした睡眠を心がける、趣味や生きがいを見つけてストレスを解消することも大切です。