我が国では急速な高齢化にともない癌(がん)にかかる人の数は増えており、今や日本人の2人に1人は癌にかかり、3人に1人が癌によって死亡すると報告されています。
癌の発生を招く最も大きな原因は加齢です。40〜50才から癌にかかる人が急激に増加するため癌年齢と呼ばれています。さらに喫煙(直接・間接)、アルコールの過量摂取、放射線・紫外線への暴露、食事(高塩分・高脂肪食)などが発癌のリスクを高めることがわかっています。日常生活の改善・節制により癌の発生を未然に防ぐことが大切ですが、リスクをゼロにする事は不可能です。
私たちには、体内に異常な細胞が出現すると攻撃排除する免疫力が備わっていますが、加齢とともに異常監視能力は低下します。そのために癌や帯状疱疹(たいじょうほうしん)にかかる人が増えたり、最近問題になっている新型コロナ感染症など色々な感染症が重症化するリスクが高くなってきます。
初期の癌細胞は、ゆっくりと静かに免疫の監視をかいくぐりながら分裂・増殖します。しかし、ある時期を境に突然ネズミ算式に加速度を上げて増殖し始めます。この頃ようやく体調の異常に気づき始めますが、すでに進行癌になっているというわけです。増殖スピードの急変が起こる前、なるべく早期に癌を診断することが大切です。
最近のデータでは、いったん癌と診断された人の50〜60%、早期癌に限定すると80〜90%が癌を克服すると言われています。既に早期癌は治る病気になっているのです。早期発見のために年に一回のがん検診受診をお勧めします。