起立性調節障害(以下OD)は、思春期の子どもたちの約1割が発症すると言われる頻度の高い心身症の一つです。立っていると気持ちが悪くなる、朝起きにくい、少し歩くと動悸や息切れがする、食欲不振、全身倦怠感、頭痛、めまい、乗り物酔いしやすい等の症状があり、特に午前中に調子が悪くなる傾向があります。症状が強ければ、日常生活に支障をきたすこともあります。原因としては、自律神経機能の不調による起立時の脳への血流低下と考えられていますが、遺伝的素因、生活習慣、心理社会的ストレスなども大きく影響します。
ODには4つのタイプがあります。起立直後から血圧低下がみられ、血圧の回復が遅れる起立直後性低血圧(INOH)、血圧低下を伴わず著しい脈拍増加を認める体位性頻脈症候群(POTS)、起立直後の血圧低下はないものの数分経過すると血圧が低下してくる遷延性起立性低血圧、起立中に意識消失を伴う神経調節性失神(NMS)です。
検査は起立後の血圧低下や脈拍数の変化を確認します。現在は、血圧が低下している時間などを自動で測定できる血圧計が開発され、検査も簡易にできるようになりました。
治療法としては規則正しい生活リズムを心掛け、塩分1日10g以上、水分2L以上を目標に摂取するようにします。日中は身体がだるくても、あまり横にならないようにし、散歩などの軽い運動をすることも有効です。タイプによってはお薬を服用することで改善する場合もありますので、症状が気になる方は一度検査を受けられることをお勧めします。