健診と脂質検査(コレステロールの値に注目しましょう)

企業・住民健診では、脂質検査として、HDLコレステロール・LDLコレステロール・中性脂肪値が結果としてかえってきます。これらの検査結果を使って、動脈硬化性心血管疾患(冠動脈疾患:心筋梗塞とアテローム血栓性脳梗塞)の発症リスクを評価することができます。そして、発症リスクに応じた脂質検査値の目標値が明示されます。適切な生活習慣の是正と薬物療法で目標値を達成することで、動脈硬化性心血管疾患の発症を予防しましょう。
発症リスクの評価には久山町スコアが使われます。スコアは➀性別 ➁収縮期血圧 ➂糖代謝異常(糖尿病は含まない) ➃LDLコレステロール ➄HDLコレステロール ➅喫煙の6項目で算出され、年齢別に評価します。スコア別に10年以内に動脈硬化性心血管疾患発症リスクを低リスク、中リスク、高リスクと評価します。
久山町では、1961年から40歳以上の住人を対象に脳卒中や心血管疾患などの疫学調査が行われてきました。その研究から、久山町スコアが作成されました。
脂質検査の異常だけでは具合が悪いなどの症状はありませんが、LDLコレステロール値が120㎎以上・中性脂肪値(空腹時)が150㎎以上の時は、かかりつけ医に検査結果をみていただき、リスク評価と生活指導・必要であれば薬の処方をしてもらってください。
ただし、久山町研究は40歳以上の住民が対象のため、40歳未満の方の評価はできません。また、80歳以上の方は状態に応じて個別な対応が求められるため、リスク評価はしません。
すでに冠動脈疾患(心筋梗塞など)やアテローム血管性脳梗塞を発症されている方は、適切な治療が必要です。糖尿病や慢性腎臓病・末梢動脈疾患などの方は、高リスクと評価されます。
また、LDLコレステロール値が180㎎以上のときは、家族性高コレステロール血症の可能性があり、冠動脈疾患発症のリスクが高いので、内科や循環器内科を受診されることをおすすめします。