夜間頻尿にご用心

若い時にはぐっすり眠れたのに、いつの頃からか夜間にトイレに起きるようになった方は多くいるでしょう。夜間頻尿とは夜間就寝中にトイレに起きる症状のことで、臨床上は夜間就寝中に2回以上トイレに起きて、日常生活に支障をきたす人が治療の対象になります。夜間頻尿があると、日中に眠くなり、仕事の効率が悪くなる、高齢者では昼夜逆転を来し、認知症の原因になることもあります。

さらに恐ろしいことに夜間頻尿を放置しておくと寿命が短くなる可能性さえあります。東北大学の調査では、70歳以上で夜中トイレに2回以上起きる人は1回以下の人に比べて、骨折を起こす割合が2倍、死亡率が1・6倍になるという結果も報告されています。 また、熟睡できないことが引き金となり、不眠症や抑うつ状態を引き起こすリスクもあります。

夜間頻尿の主な原因には、夜間多尿、過活動膀胱や前立腺肥大症、睡眠障害などが挙げられますが、ふだん内科で診てもらうような高血圧や糖尿病、腎臓病、心疾患が関連する場合もあります。

治療は主に投薬治療になります。過活動膀胱がある方は硬くなった膀胱を緩めるβ3刺激薬や膀胱の異常な収縮を抑える抗コリン薬、夜間多尿がある方はデスモプレシン製剤、不眠がある方は睡眠薬等、その方の夜間頻尿の原因により様々な薬を使用します。

夜中にぐっすり眠って朝すっきりと起きる生活は、これからの人生を健康に過ごすために必要です。夜間頻尿でお困り方は近隣の医療機関にご相談ください。