結核

 結核は過去の病気と思っていませんか。確かに医療や生活水準の向上により、新たな患者数、死亡者数は共に激減しています。しかし、現在でも毎年、2万2千人以上の新たな患者が発生し、2千人以上の方が亡くなっています。結核は現代になっても、重大な感染症なのです。

 ではどのようにしてうつるのでしょう。結核は飛沫核(ひまつかく)感染(かんせん)といって、結核菌の混ざった痰(たん)が、咳(せき)やくしゃみと一緒に空気中に飛び散り、それを周りの人が吸い込むことによって感染します。

 しかしながら、感染と発病とは分けて考えましょう。感染しても一生発病しない人、数十年して発病する人、感染してそのまま発病する人もいます。感染した人の抵抗力と結核菌との力関係で変わってくるのです。

 結核の初期症状は、咳や痰が続く、微熱が続く、体がだるいなど風邪とよく似ています。咳や痰が2週間以上続いたら、注意が必要です。症状が1ヵ月以上続く人からは25人に1人の割合で結核患者がみつかっています。

 結核は薬で治る病気ですが、薬をきちんと飲むことが重要です。半年以上の長期間飲む必要があり、また、近年薬が効きにくい結核菌の出現が問題となってきています。

 そこで予防が大切になってきます。赤ちゃんは生後1歳に至るまでの間にBCG接種を受けるようにしましょう(標準的な接種時期の目安は生後5~8ヵ月)。また、睡眠を十分にとる、適度な運動をする、バランスの取れた食事をするなど、抵抗力を低下させないようにしましょう。

 また、早期発見が大切です。これは本人の重症化を防ぐためだけではなく、感染の拡大を防ぐためにも重要です。咳や痰が2週間以上続いたら、結核を疑って早めに医療機関を受診してください。