睡眠時無呼吸症候群にご注意

 睡眠時間は十分とれているのに、日中の眠気が強かったり、いびきが大きく睡眠中に呼吸が止まっていると指摘されていませんか?

 睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。多くの症例でみられる睡眠時無呼吸症候群は、呼吸運動は正常ですが、上気道の閉塞により呼吸停止が生じます。肥満者や顎が小さい骨格であるほど空気の通り道が狭くなり発症のリスクも高くなります。

 無呼吸が続くことで心身に負担がかかり、生活習慣病(高血圧や心疾患や糖尿病など)の発症のリスクが上昇します。昼間の眠気により事故(交通事故、労災事故)が発生しやすくなり、作業効率が下がります。死亡率が上昇するという報告もあります。

 治療は、肥満が原因の場合は、減量が必要ですが、主な治療はCPAP(シーパップ)です。睡眠時に鼻にマスクをあてて、加圧した空気を鼻から送り込んで気道を広げ、呼吸が止まらないようにするものです。次に用いられるのが、効果はやや劣りますが、マウスピースです。睡眠時に上下の歯の間に固定して、狭くなった気道を広げる作用があります。

 治療により無呼吸が減り、生活習慣病の発症が減少し、眠気などの症状も改善されます。患者は我国で約200~300万人と推定されています。しかし、なかなか気がつきにくいことや、いびきをかくだけでは受診することが少なく、治療を受けている患者は少ないのが現状です。

 原因の分からない日中の眠気や、睡眠中の呼吸がおかしいと感じたら、かかりつけ医に相談してください。