職場などで緊張する場面において、お腹(なか)が痛くなり、下痢(げり)や便秘(べんぴ)となることはありませんか? それは現代社会のストレスによって増加している過敏性腸症候群という病気かもしれません。
そもそも腸と脳には密接な関係があり、脳が不安やストレスを感じると、その信号が腸に伝わって影響が出るわけですが、過敏に伝わることで腹痛や膨満感(ぼうまんかん)等の腹部症状や下痢、便秘等の便通異常を引き起こします。
特徴としては、身体的には異常が無いこと、排便後には腹痛等の症状が軽くなることや慢性的に繰り返していること等が挙げられます。
診断には問診や血液検査、尿検査や便検査等の一般的な診察がまず必要です。最終的には注腸造影(ちゅうちょうぞうえい)や大腸内視鏡(だいちょうないしきょう)等の大腸の検査で大腸がんやクローン病や潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)等、他の身体的な病気を認めないことで診断されます。
治療には暴飲暴食を避け、食物繊維(しょくもつせんい)を多くとる等の食生活の改善や、多量の飲酒、喫煙を避けること等の生活習慣の改善が大切です。また、必要時には薬の治療も行いますが、症状に応じた個別的な薬の選択が必要になる一方で、過敏性腸症候群の症状改善はゆっくりであることが多く、根気強く治療していくことが大切です。
特にいつお腹が痛くなるかと心配して交通機関も利用できない方は、きちんと診察を受けることをお勧めします。