食事の介助

 認知症の人にとって食事や入浴、歩行などはリハビリテーションが必要です。適切なサポートにより、症状の進行を遅らせる事がある程度は可能です。

 食事の介助のポイントは、スムーズな嚥下(えんげ)を促すことです。嚥下とは、飲み物や食べ物を口の中からのどの奥を通過させ、食道を通って胃へと送り込むことです。このことがスムーズにいかない状態を嚥下困難と称します。

 食道の入り口には気管もあり、嚥下する時だけ気管のふたが閉じて食物が食道に入っていく仕組みになっています。これが誤って気管に入ってしまうことが誤嚥(ごえん)で、咳き込んだり、時には肺炎を起こしたりすることがあります。むせないためには、食べ物の大きさを親指程度にしたり、飲み込みやすいようにとろみをつけた水分が必要となってきます。

 食事の時の姿勢も大切な要因です。背筋を伸ばしてやや前傾にし、あごを引いて食べる様にするのが良いと言われています。また、本人の好みにあった食事を心掛けることも大切です。食事の介助を受けなければならない人は「食べ物であり、飲み込んでも良いものですよ」という認識が低下しているので、嚥下は難しくなります。

 症状が進行し、そういった認識が難しくなった人には、唇に食べ物を軽く当て、これから食べ始めることを伝えてあげることも大切です。「おいしい」ということがわかれば、口を開けて食べてくれるようになります。